境界に関すること全般

Q/A  <1>山林の境界に関すること

Q1.山林の所在が分からなくなってしまいました、どうすれば良いのでしょうか。

まず登記簿謄本を基に管轄の法務局で図面をもらう。

この図面が、

  • 地籍図(地籍調査済みの地図)の場合
      比較的簡単に現地確認が出来ます。

    • <1>地図を基にGPSを使用し現地を確認する。
      (この技術が当社の得意分野です。)
      境界が明確に確認(書付、マーキング、境界杭)出来ればOK
    • <2>地図を基に地元の役場や森林組合で隣接者を調べる。
      隣接者に同行してもらい現地にて境界の確認出来ればOK
    • <3>隣接者との協議がうまく行かなかった場合
      測量会社に依頼し、図面より現地を復元。(結構お金が掛かります)
  • 公図*1(地籍調査ではなく概略図)の場合  
      かなり難しい場合もあります。

    • <1>森林組合で森林計画図*2を貰いGPSで現地を確認する。
      境界が明確に確認(書付、マーキング、境界杭などで)出来ればOK
      但し、森林計画図は県や森林組合が独自に利用している物であり、山林所有者の境界を確定する為の物では無いので、閲覧やコピー不可能な森林組合がある。(森林組合は山林の境界に関する問題に対しては、中立の立場であるので境界の確定はあくまで当事者同士の協議によるものである)
    • <2>公図を基に地元の役場や森林組合で隣接者を調べる。
      隣接者に同行してもらい現地にて境界の確認出来ればOK
      山林の境界は林相や地形(尾根筋、谷筋、里道等)などにより公図を参考にしながら隣接者と協議しながら確認します。
      但し、隣接者に悪意があった場合、不利な境界確定(境界が変えられ山林面積が少なくなる)になることも有るので、先に地元の総代さん(区長)や山林に詳しい人に案内してもらうのも良い。

 *1公図について

 法務局で公図とは、地籍図以外の地図を指す。ほとんどが明治に各地で作成された概略図で、現地の再現は不可能である。縮尺や距離が正確ではなく、もちろん面積や形も正確でない。更には、隣接の状況も正しくない場合もある。		

 *2森林計画図について

 森林組合や行政機関が森林の位置と施業の便を考え区分した、森林の区画(林班・小班・分班)等を示した図面。(縮尺は1/5000)

参考)
地籍調査の実施状況
http://www.chiseki.go.jp/about/status.html

参考)
奈良地方法務局管轄区域一覧
http://houmukyoku.moj.go.jp/nara/table/shikyokutou/all.html

<山のQ&Aメニューに戻る>**Q2.境界の一部に曖昧なところがあるので、確定するにはどうすれば良いのでしょうか。 [#ufb18eb0]

このような場合のほとんどが地籍調査がされていない山林なので、Q1と同様にまず、

登記簿謄本を基に管轄の法務局で図面をもらいます。
  • この図面(公図)を基に隣接者を調べる。(森林組合や役場で聞けばほとんどの場合分かる)
    合わせて森林組合で森林計画図を貰うと良い。
  • 隣接者に同行してもらい現地にて境界を確認する。
  • 確認後、書付やマーキングをそれぞれ行う。(境界杭を打つのも良い)

このとき出来れば第三者(地元の山を良く知っている者や林層や境界についてよく知っている者)に同行をお願いするのが良いでしょう。
 当事者同士では、お互いに譲らずに決着が付かない場合があったり、または不条理な境界で押し切られたりする事がある。
(森林組合は山林の境界に関する問題に対しては、中立の立場であるので境界の確定はあくまで当事者同士の協議によるものである)

Q3.境界で隣接者ともめている。

境界の問題は先になればなるほど解決が難しくなります。(事情を知る人が居なくなる、立木が太くなり評価が上がるとお互い譲らない等)特に世代が替わる(相続する)となおさら難しくなります。早期に解決するのが良いと思います。

このような場合は、

  • 公図(Q1参照)や森林計画図(Q1参照)を基に、隣接者を調べた後、隣接者及び地元の山を良く知っている者や林層や境界についてよく知っている者と同行し、林層や慣習により境界を協議の上決定する。
  • 境界のほぼ真ん中に立木がある場合によくもめることがあります。
    この場合は協議のうえ立木を伐採し、境界を広くする解決方法もある、このとき伐採木を第三者に売却しその代金を折半する事もある。

Q4.隣接者が境界を越えて書付(マーキング)してきたが、どうすれば良いのでしょうか。

 この場合もQ3と同様で、早期の解決が良いと思われます。
  • 公図(Q1参照)や森林計画図(Q1参照)を基に、隣接者を調べた後、隣接者及び地元の山を良く知っている者や林層や境界についてよく知っている者と同行し、林層や慣習により境界を協議の上決定する。
  • なぜ境界を越えて明示してきたのか、その原因をよく話し合う。特に間違いやすい境界については、細かく書付(マーキング)すると良い。

Q5.境界を長期間を保全する良い方法はありますか。

 一般的には、次の2つの方法が行われています。
  • ①境界杭を埋設する方法  詳しくはこちら
    • プラスチック又はコンクリート製の杭を境界の要所に埋設する。(杭は境界の幅の中間に埋設する。)
      • この方法は、かなり長期間明示できます。
      • 杭の埋設に材料費や手間がかかります。
      • まれに杭を移動する隣接者があり(特にプラスチックの杭は簡単に移動できる)
  • ②立木にマーキングする方法  詳しくはこちら
    • 立木の要所にペンキ又は墨でマーキング(ペイントで色をつけたり、名前や屋号を書く)する。境界の変化する所や、道に面した良く目立つ所にする。
      • 材料費や手間が比較的かからない。
      • 約10年くらいでマーキングし直さなければ消えてしまう。

①と②を合わせて行えば長期間保全が出来ます。

Q6.将来、山林の管理(境界)に不安があります、なにか良い方法はあるのでしょうか。

 まず次の2点をきちんと管理できれば安心です。
  • ①境界の保全(マーキング)をする。(5年ごとに)
    →Q5の②を参照
  • ②山の位置を地図に記録する。(概略図で良い) 道(林道等)からの入山点や入山経路を地図に記入する。
  • <GPS測量で地図を作成すると簡単にできます。>詳しくはこちら
    市販の25,000分の1の地図を見ながら記録するのはかなりの熟練が必要で、間違いも多い。

     山の境界保全は、現地の明示(マーキングや杭の設置)が基本です。

Q7.隣接の山林を伐採した時、こちらの立木も伐採されてしまいました、どうすれば良いのでしょうか。

 早急に隣接者に連絡を取り、隣接者又は伐採業者に対し抗議する。
  • ①境界が確実に明示してある場合は、伐採業者が故意に行った場合があるので、特に厳重に抗議する必要がある。(弁償も含めて)
  • ②境界の明示が無く、境界があいまいな場合は、伐採業者の過失の場合もあるので、円満に解決するように話し合う。
 境界の明示が不完全だと、誤伐採される、もしくは誤伐採する可能性があるので、境界は確実に明示したい。

Posted by 今西秀光